両津勘吉:詳細・その他
人物概要
両津勘吉(りょうつ かんきち)、通称「両さん」は、秋本治氏による漫画作品『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(通称『こち亀』)の主人公である。1976年(昭和51年)に週刊少年ジャンプで連載を開始し、2016年(平成28年)まで40年にわたり連載が続いた国民的人気漫画の顔として、日本の漫画史に燦然と輝くキャラクターと言える。
年齢は50歳(連載当初は36歳)で、職業は警視庁葛飾警察署亀有公園前派出所に勤務する巡査長。しかし、その職務を真面目に遂行することは稀で、むしろ「お巡りさん」という立場を利用して様々な悪巧みや商売に手を染め、一攫千金を狙うのが常である。その破天荒な行動と強烈な個性は、多くの読者に愛され、また呆れられながら、物語の中心を担ってきた。
外見的特徴
黒髪を七三分けにした、太い眉毛と丸い眼が特徴的な、典型的な日本人といった風貌。身長は160cmと、男性としてはやや小柄だが、そのずんぐりむっくりとした体型と腹の出具合は、彼の食いしぶとい生活態度を象徴しているかのようである。服装は、派出所の制服を着用することが多いが、着崩したり、私服で登場することも多々ある。私服のセンスは独特で、派手なシャツや派手なズボン、派手な帽子などを好んで着用する。特に白のハットは彼のトレードマークの一つと言えるだろう。
性格・行動特性
両津勘吉の性格を一言で表すなら、「欲張り」、「怠惰」、「強運」、そして「人情家」だろう。
金銭欲は人一倍強く、宝くじ、ギャンブル、投資、転売、発明、最新技術の悪用など、あらゆる手段で大金を稼ごうと画策する。しかし、そのほとんどは失敗に終わるか、一瞬で失ってしまうのがお決まりのパターンだ。
極度の怠惰も彼の特徴であり、面倒なことは極力避ける。パトロールや取り締まりは、サボるか、適当に済ませることが多い。そのため、署長をはじめとする上司や同僚からはいつも叱責されている。
しかし、そんなダメ人間に見える彼だが、驚異的な運に恵まれていることも少なくない。ピンチに陥っても、偶然や人助けによって難を逃れることが多く、「持ってる男」としての側面も持ち合わせている。
そして、極度の欲張りや自己中心的な行動の裏には、仲間や周囲の人々への深い情が隠されている。困っている人を見ると放っておけない一面もあり、いざという時には身を挺して助けることも少なくない。彼の人情深さは、作中登場する多くのキャラクターに影響を与え、物語に温かみを与えている。
特技・能力
両津勘吉の特技は多岐にわたる。機械いじりに長けており、古い機械を修理・改造して最新技術のガジェットを作り出すこともしばしば。また、プラモデルやミニカーなどの収集・改造にも熱中する。
商才もあり、思いつきで次々と商売を始めるが、成功することは稀である。メカニックな知識も相当なもので、最新のメカについても造詣が深い。ゲームやコンピュータにも精通しており、最新のテクノロジーを駆使した悪巧みを実行することもある。
体力も並外れており、長距離の移動や激しい運動にも耐えられる。喧嘩も強く、格闘技の素養もあるようだが、普段は怠惰なためその能力を発揮することは少ない。
人間関係
両津勘吉は、個性豊かな同僚や友人、親族に囲まれている。
* 中川龍一郎:大財閥の御曹司であり、両津の唯一の親友。いつも両津の悪巧みに巻き込まれ、金銭的な被害を受けるが、根は優しく、両津を見捨てることはない。
* 秋本・カトリーヌ・麗子:美人局の天才であり、中川に好意を寄せている。両津の悪巧みに乗ることもあり、時に協力することもある。
* 大原部長:両津の上司であり、頭の回転が速い。両津の悪巧みを見抜くが、いつもは振り回される。両津を叱りつけることが多いが、陰では心配している一面もある。
* 本田速人:バイクを愛する熱血漢。両津の命令を受けて、様々な「仕事」を「こなす」。
* 麻里、浅草:両津の親戚。麻里は両津の少年時代を知る数少ない人物。
### まとめ
両津勘吉は、単なるお調子者やダメ人間ではない。金に執着し、怠惰でトラブルを引き起こすことが多いが、その根底には人間味と優しさが宿っている。現代社会の人間模様をコミカルに、そして時にはシニカルに描き出す「こち亀」の主人公として、読者に笑いと感動を提供し続けた。彼の存在は、漫画の枠を超え、日本の文化の一部となっていると言えるだろう。

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