JASON (ジェイソン・ボーヒーズ)
ジェイソン・ボーヒーズは、1980年に公開されたホラー映画『13日の金曜日』シリーズの主要なキャラクターとして登場する、映画史上で最も象徴的で恐れられている殺人鬼の一人です。
誕生と背景
ジェイソンは、1957年6月13日に、ニューヨーク州のクリスタルレイクという架空の湖畔にあるサマーキャンプ「キャンプ・ハドソン」で生まれました。彼の母親であるパメラ・ボーヒーズは、キャンプの料理人でした。幼少期、ジェイソンは重度の水頭症と顔面の奇形を患っていたとされており、これが彼を周囲から孤立させ、いじめの対象としました。
彼の人生の転機となったのは、1979年、10歳の時に起こった悲劇です。キャンプの指導員たちの不注意による監視の怠慢が原因で、ジェイソンはクリスタルレイクの湖に落ちて溺死してしまいました。この出来事は、母親のパメラに深い悲しみと怒りをもたらしました。
母親パメラ・ボーヒーズの復讐
ジェイソンが死亡したとされる1979年の後、母親のパメラは、息子を見殺しにしたキャンプの指導員たちへの復讐を開始します。彼女は、ジェイソンが溺れたとされるクリスタルレイクのキャンプ・ハドソンに現れ、キャンプ関係者を次々と惨殺していきます。これは『13日の金曜日』(1980年)の物語の導入部となります。
ジェイソンの覚醒と恐怖の象徴へ
『13日の金曜日』の終盤で、パメラは主人公のアリス・ハーディに倒されます。しかし、この時点ではジェイソン自身はまだ死んだまま、あるいは行方不明の状態でした。
ジェイソンが本格的に殺人鬼として覚醒し、シリーズの主役となるのは、続編である『13日の金曜日 PART2』(1981年)からです。この作品で、ジェイソンは母親の遺体の一部(頭蓋骨)を母親の祭壇に飾り、母親の遺志を継ぐかのように、キャンプ・ハドソンを襲撃した若者たちを惨殺します。この時、彼はまだホッケーマスクを着用しておらず、母親のセーターを被り、 burlap sack(麻袋)を目出し帽のように被っていました。
そして、シリーズの転換点となる『13日の金曜日 PART3』(1982年)で、ジェイソンはついに、彼のトレードマークとなるホッケーマスクを着用するようになります。このマスクは、彼が殺害した人物(クリス・ヒギンズのボーイフレンドであるジミー)から奪ったもので、彼の顔を隠し、感情を読み取れなくすることで、より一層恐ろしい存在へと変貌させました。このマスクの着用は、彼のキャラクターを決定づける重要な要素となり、以降の作品で不動のものとなります。
殺人スタイルと能力
ジェイソンの殺人スタイルは、極めて残忍かつ残虐です。彼は、キャンプ場やその周辺に迷い込んだ若者たちを、様々な凶器を用いて惨殺していきます。初期の作品では、マチェット(鉈)、斧、ナイフ、弓矢、さらにはキャンプ道具なども使用していました。
彼の特徴的な点は、その驚異的な体力と耐久力です。銃撃を受けても、ナイフで刺されても、火に焼かれても、さらには爆発に巻き込まれても、死なずに復活し、執念深く標的を追い続けます。この不死身とも言える生命力は、彼を単なる人間を超えた、超自然的な存在へと近づけました。
また、ジェイソンは多くの場合、ほとんど言葉を発しません。彼の行動は、静かで、粘り強く、そして容赦ないものです。この沈黙は、彼の存在をさらに不気味にし、恐怖を増幅させます。
シリーズにおける展開と進化
『13日の金曜日』シリーズは、1980年から2009年まで、12作品が製作されました。ジェイソンは、これらの作品のほとんどで中心的な存在として登場し、その恐怖を体現してきました。
* **初期作品(~PART4)**: 母親の復讐という要素が色濃く残っており、ジェイソン自身の過去や母親との関係性が描かれることがあります。
* **中期作品(PART5~PART8)**: ジェイソンはほぼ不死身の存在として確立され、様々な場所(ニューヨーク市、宇宙など)で殺戮を繰り広げます。この時期には、ジェイソンが本当に本人なのか、それとも模倣犯なのかという疑問を投げかける作品も登場します。
* **後期作品(PART9~『ジェイソンX』)**: より超常的な要素やSF的な設定が導入されるようになります。特に『ジェイソンX』(2001年)では、未来の宇宙空間で冷凍保存されていたジェイソンが復活し、サイボーグ化して暴れまわるという、シリーズの常識を覆す展開を見せました。
* **リメイク作品(『13日の金曜日』(2009))**: オリジナルシリーズの要素を再構築し、より現代的なホラーとしてジェイソンの物語が描かれました。この作品では、ジェイソンの孤独や、母親への異常な執着がより掘り下げられています。
その他の登場作品とクロスオーバー
ジェイソン・ボーヒーズは、自身が主演する『13日の金曜日』シリーズ以外にも、他のホラーアイコンと対決する作品にも登場しています。
* **『フレディVS.ジェイソン』(2003年)**: 『エルム街の悪夢』シリーズのフレディ・クルーガーと対決する、待望のクロスオーバー作品です。この作品で、二人の狂気の殺人鬼の壮絶な戦いが描かれました。
また、ビデオゲーム、コミック、小説など、様々なメディアでジェイソンの物語は展開されており、その人気は衰えることを知りません。
まとめ
ジェイソン・ボーヒーズは、単なる殺人鬼という枠を超え、ホラー映画のアイコンとして、世界中のファンに恐れられ、愛されています。彼のトレードマークであるホッケーマスク、圧倒的な力、そして執念深さは、観る者に強烈な恐怖と印象を与え続けています。幼い頃の悲劇から始まり、母親の復讐を経て、不死身の怪物へと変貌を遂げた彼の物語は、ホラー映画の歴史において、燦然と輝く一ページを刻んでいます。その存在は、今なお多くのクリエイターに影響を与え、新たな恐怖の物語を生み出す源泉となっています。

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